在宅での介護サービスと通所介護サービスはどう選ぶ?選び方を解説
訪問介護サービスと通所介護サービスのどちらを選べばよいのか迷っている方も多いでしょう。名前から違いを想像することはできますが、それぞれメリット・デメリットを比較して自身の状況にあったサービスを選ぶ必要があります。この記事では在宅介護サービスと通所介護サービスの違い・メリット・デメリットを解説します。最後までご覧ください。
訪問介護と通所介護の基本的な違い
介護保険制度では、様々なサービスが提供されています。主なサービスとして「訪問介護」と「通所介護」があります。両者の基本的な違いを理解しましょう。
訪問介護(ホームヘルプ)の特徴
訪問介護は、介護専門スタッフが利用者の自宅を訪問します。日常生活の様々な場面でサポートを行うサービスです。具体的には以下のような支援があります。
身体介護 | 入浴・排泄・食事・着替えなどの介助 |
生活援助 | 掃除・洗濯・食事の準備・買い物の代行 |
通院等乗降介助 | 通院などの外出時の支援 |
例えば、足腰が弱くなり家事や生活が1人では難しくなってしまった場合でも、ヘルパーさんのサポートのもと、入浴の介助や掃除・洗濯などの家事支援を受けることで、自宅での生活を続けられています。
訪問介護は介護保険法に基づくサービスです。そのため要介護認定を受けた方が利用できます。介護度に応じて利用限度額が決まっています。
詳細は厚生労働省の介護サービス情報公表システムをご参照ください
通所介護(デイサービス)の特徴
通所介護は、日中に介護施設へ通うサービスです。施設では以下のようなサービスが提供されます。
日常生活上の支援 | 食事・入浴・排泄の介助 |
機能訓練 | 専門スタッフによるリハビリテーション |
レクリエーション | 体操・手芸・音楽活動など |
社会的交流 | 他の利用者との会話や活動 |
通所介護も介護保険法に基づくサービスです。要介護認定の結果により利用可能なサービス内容が決まります。
詳細は厚生労働省の介護サービス情報公表システムをご参照ください
訪問介護(ホームヘルプ)のメリット・デメリット
適切なサービスを選ぶためには、各サービスのメリット・デメリットを比較することが大切です。まずは訪問介護のメリット・デメリットを見ていきましょう。
メリット
訪問介護には以下のようなメリットがあります。
- 慣れた環境での生活継続
自宅という慣れ親しんだ環境で過ごせます。認知症の方は特に環境変化によるストレスが軽減されます。
- 個別対応が可能
利用者一人ひとりのニーズに合わせたケアを受けられます。時間帯や内容も柔軟に調整できます。
- プライバシーの確保
他の利用者の目を気にせず、自分のペースで介護を受けられます。
- 感染リスクの低減
多くの人と接触する機会が少ないため、感染症リスクを抑えられます。
デメリット
一方で、訪問介護には以下のようなデメリットもあります。
- 社会的交流の機会が限られる
自宅にいる時間が長くなるため、外部との交流機会が減少します。孤独感を感じる可能性があります。
- サービス提供時間の制約
サービスは決められた時間のみ提供されます。24時間体制ではないため、突発的な対応が難しい場合があります。
- 専門的リハビリの制約
自宅での実施となるため、設備を必要とする専門的リハビリには限界があります。
持病などがあり、感染症などのリスクが懸念される場合や、人との交流があまり得意ではないといった場合は訪問介護を利用するのが望ましいでしょう。
通所介護(デイサービス)のメリット・デメリット
通所介護にもメリット・デメリットが存在します。
メリット
通所介護には以下のようなメリットがあります。
- 社会的交流の促進
同世代の方々との交流機会が増えます。会話や集団活動を通じて社会性を維持できます。
- 専門的なリハビリテーション
専門スタッフと設備を活用した効果的なリハビリが受けられます。身体機能の維持・改善に役立ちます。
- 家族の介護負担軽減
日中のサービス利用時間中は、家族が休息や仕事に時間を使えます。介護者のレスパイト(休息)につながります。
- 規則正しい生活リズムの維持
定期的に通うことで、生活リズムが整います。食事や入浴なども定時に提供されます。
デメリット
一方で、通所介護には以下のようなデメリットもあります。
- 移動の負担
施設への往復が必要です。体調不良時や天候不良時には負担となる場合があります。
- 集団対応が基本
基本的には集団での対応となります。個別のニーズに対応しきれない場合もあります。
- 決まったスケジュール
施設の営業時間内での利用となります。柔軟な時間設定が難しい場合があります。
- 環境変化への適応
自宅とは異なる環境での活動となります。環境変化に適応するまで時間がかかる方もいます。
概ね、訪問介護サービスとメリット・デメリットが逆になると言えます。それに加え、移動が必要となることで、家族のサポートが必要となったり、送迎の費用が発生したりするなど、通所介護ならではのデメリットには注意が必要です。
訪問介護以外に自宅で利用できるサービス
訪問介護だけでなく、自宅で利用できる介護サービスは他にもあります。ここでは代表的なサービスを紹介します。
訪問リハビリテーション
理学療法士や作業療法士などの専門職が自宅を訪問します。自宅環境に合わせた機能訓練を行います。
例えば、自宅で転倒した経験がある方には、訪問リハビリをとおして、自宅の環境を確認しながら、安全に移動する方法を指導したりします。
詳細は厚生労働省の介護サービス情報公表システムをご参照ください
訪問看護
看護師などが自宅を訪問し、医療的ケアを提供します。以下のようなサービスがあります。
- 病状観察と健康管理
- 医療処置(点滴・カテーテル管理など)
- 服薬管理
- 療養上の相談
例えば、糖尿病の持病がある場合、血糖値や血圧のチェック、服薬管理のサポートを受けることで安心した生活を送ることが可能となります。
詳細は厚生労働省の介護サービス情報公表システムをご参照ください
訪問入浴介護
移動入浴車で自宅を訪問し、浴槽を持ち込んで入浴介助を行います。自力での入浴が難しい方や、特殊な入浴設備が必要な方に適しています。
最適なサービス選びのポイント
介護サービスを選ぶ際は、以下のポイントを考慮しましょう。
- 本人の希望と状態
まずは利用者本人の希望を尊重します。また、身体状態や認知機能も考慮します。 - 家族の状況
家族の介護力や仕事の状況も重要な要素です。家族の負担軽減も考えましょう。 - 住環境
自宅の状況(間取り・設備・アクセス)も確認します。訪問サービスの場合、スペースの確保も必要です。 - 経済的負担
介護保険の自己負担額と実費負担を確認します。長期的な利用を考えた計画が大切です。 - 組み合わせの検討
必要と判断された場合は訪問介護と通所介護の併用が可能です。1つのサービスだけでなく、複数のサービスを組み合わせることも検討しましょう。
まとめ
訪問介護と通所介護は、それぞれに特徴があります。どちらが優れているということではなく、利用者の状況に合わせた選択が重要です。
また、介護サービスは定期的な見直しも大切です。状態の変化に応じて、ケアマネジャーと相談しながら最適なプランを調整していきましょう。
ケアマネジャーは介護サービス選びのプロフェッショナルです。わからないことがあれば、積極的に相談することをおすすめします。