介護保険サービスを受けるには、要介護認定をもらう必要があります。
ただ「要介護認定の申請先はどこ?」「要介護認定を申請できる人は?」などと疑問に思っている人もいるでしょう。
そこで本記事では、要介護認定の申請方法について詳しく解説します。申請時に必要な書類もまとめているので、ぜひ参考にしてください。
要介護認定とは?
要介護認定とは、どの程度の介護が必要であるかを判断するための制度です。要介護の度合いは7段階に区分されており、要介護認定を受けると7段階のいずれかが通知されます。
また、要介護認定が下りた場合は介護保険が適用されるため、それぞれの段階に応じたサービスを1〜3割の自己負担で利用可能です。
要介護認定のランクとは?
要介護認定を受けると、「要支援1・2」もしくは「要介護1〜5」という7段階のいずれかに分類されます。
食事の介護や掃除の援助などに時間をどのくらい要するかという「要介護認定等基準時間」が基準となっています。厚生労働省が定めた全国一律の基準なので、地域によって基準が異なるということは起こり得ません。
7段階の要介護認定等基準時間とそれぞれの状態は、以下の通りです。
7段階の区分 | 要介護認定等基準時間 | 状態 |
要支援1 | 25分以上32分未満 | 食事や入浴といった日常生活の基本的な動作はほぼ自分で行えるが、家事や掃除など一部の動作で介助が必要な状態 |
要支援2 | ||
要介護1 | 32分以上50分未満 | 要支援状態よりも、家事や掃除といった動作を行う能力がさらに低下し、部分的な介護が必要な状態 |
要介護2 | 50分以上70分未満 | 要介護1の状態に加え、食事や入浴といった日常生活における動作で部分的な介護が必要な状態 |
要介護3 | 70分以上90分未満 | 要介護2の状態と比較して、日常生活における動作だけでなく家事や掃除などの動作を行う能力も著しく低下し、ほぼ全面的な介護が必要な状態 |
要介護4 | 90分以上110分未満 | 要介護3の状態に加え、さらに動作を行う能力が低下し、介護なしには日常生活を送ることが困難な状態 |
要介護5 | 110分以上 | 要介護4の状態よりも、さらに動作を行う能力が低下しており、介護なしには日常生活を送ることがほぼ不可能な状態 |
家事や掃除などの「手段的日常生活動作」が行える状態は、要介護の度合いが低いとされています。対して、家事や掃除で援助が必要になったり、食事や入浴などの日常生活における動作で介護が必要になったりする状態は、要介護の度合いが高いとされています。
なお、認定の結果によっては「自立(非該当)」に分類されることもあり、その場合は介護保険サービスは受けられません。
要介護認定の申請方法
要介護認定の申請は、以下の流れで行えます。
- 要介護認定の申請をする
- 訪問調査に対応する
- 審査と判定の結果を待つ
- 認定結果を受け取る
ここから詳しく解説していくので、ぜひ参考にしてください。
①要介護認定の申請をする
まずは、要介護認定の申請をしましょう。「介護保険要介護認定・要支援認定申請書」や「介護保険被保険者証」などを、地域包括支援センターもしくは役所の介護保険課の窓口に提出してください。郵送での申請やマイナポータルでの申請も可能です。
申請できるのは、本人もしくは介護対象者の家族です。友人や会社の同僚などに代わりに申請してもらうことはできません。
なお、要介護認定を受けられるのは65歳以上の方です。もし、特定疾病と診断された方であれば40歳〜64歳の方でも認定を受けられます。特定疾病と診断されていない64歳以下の方は、申請しても要介護認定を受けられないので注意してください。
②訪問調査に対応する
申請をすると調査員による訪問調査が行われるので、自宅や病院などで対応してください。具体的には、心身の状態や日常生活の状況について聞き取り調査が行われます。また、介護の状況や特定の医療行為の有無なども併せて確認されます。
対象者本人に関する項目だけでなく生活状況や介護状況も調査されるため、なるべく家族も立ち会うのが望ましいです。家族も一緒に対応した方が、より正確な調査が行えます。
訪問調査が完了したら、申請書に記載された主治医を受診してください。主治医がいない場合は、市区町村から医師が紹介されます。診断の結果をもとに意見書が作成され、次の判定で使用されます。
③判定の結果を待つ
聞き取り調査の結果や主治医の意見書をもとに、判定が行われます。コンピューターによる一次判定が実施されたのち、介護認定審査会による二次判定が実施されるという流れです。
コンピューターによる一次判定では、介護の手間を測る「要介護認定等基準時間」が算出されます。ただ、要介護認定等基準時間はあくまでも「ものさし」なので、実際の介護時間を算出しているわけではありません。
また、介護認定審査会による二次判定は5人の学識経験者で構成されており「要支援1・2」もしくは「要介護1〜5」の7段階のうち、どれに該当するかが判断されます。
④認定結果を受け取る
要介護認定が完了すると、結果が記載された文書が届くので受け取りましょう。原則として、結果は申請した日から30日以内に通知されますが、遅れる場合は見込みの期間と遅延の理由が通知されます。
要支援や要介護の認定が出れば、それぞれの度合いに応じた介護サービスを受けられます。
要介護認定を申請するときに必要な書類
要介護認定を申請するときは、以下の必要書類を用意しておいてください。本人が申請するときと家族が代理で申請するときで必要な書類が異なります。
本人が申請するときの必要書類 | 家族が代理で申請するときの必要書類 |
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個人番号が記載された書類として有効なのは、マイナンバーカードや個人番号通知カードなどです。身元確認書類として有効なのは、マイナンバーカード・運転免許証・パスポートなどです。マイナンバーカードがあれば、別途で免許証やパスポートを持っていく必要はありません。
また、代理権は介護保険被保険者証や委任状などで確認できます。委任状は、市区町村のホームページからダウンロードするか、窓口で受け取ってください。
参考:申請から介護サービスを利用するまで|豊島区公式ホームページ
要介護認定を受けたら更新が必要
要介護認定を受けたら、原則として1年ごとに更新をしてください。サービスの利用や月日の経過により、要支援・要介護の度合いに変化が生じる可能性があるためです。
有効期限が満了する約60日前に更新申請書が送付されるので、地域包括支援センターや役所の介護保険課の窓口にて更新の申請を行ってください。郵送でも更新手続きが行えます。
なお、更新せずに有効期限を迎えると、新規で要介護認定を申請する必要があるため注意してください。
まとめ
要介護認定をもらうには、必要書類を提出したり訪問調査に対応したりと様々な手順を踏む必要があります。少し面倒に感じるかもしれませんが、適切に要介護の度合いを判定してもらい各度合いに応じた介護サービスを受けるためには、いずれの手順も重要です。
要介護認定を受ければ、1〜3割の自己負担で介護保険サービスを利用できます。本記事を参考に必要な書類や手続きの流れを把握し、早めに要介護認定の申請をしましょう。